証拠(甲16)として提出されてお り,当時の愛知県建築部建築指導課長で愛知県特定行政庁連絡会会長を 務めるJが,監修に当たっての巻頭言の中で,今回の例規集の改正では, 日本建築主事会議でとりまとめた建築基準法の運用指針や,実務上,特 に重要とされる建設省通達等を数多く取り上げたこと,建築基準法改正 による性能規定化等により,建築行政に携わる建築技術者はより多くの 判断が求められることとなるため,責務も重大であり,例規集が判断指 標として活用されることを希望する旨述べており,本文で「建築物の構 造規定」及び「Q&A集」が引用されている。
ウ適合性
(ア) 本件耐震壁のモデル化及び境界梁の設計
本件建築物の構造設計上の特徴として,2階から10階までのいずれ の階も梁間方向に耐震壁(本件耐震壁)が存在するが,それら耐震壁は いずれも,開口部として,本件建築物内部(内壁)に廊下,同外部(外 壁)に非常口がそれぞれ存在する(甲1の4の伏図及び軸組図,甲1の 5の3,20頁など)。
本件構造設計は,本件構造計算に際して,本件耐震壁を上記開口部の 存在にもかかわらず1枚の壁としてモデル化しており,また,耐震壁に 接続する梁(境界梁)を配置しない設計としている。
他方,「構造計算規準」(甲75)では,開口部のある耐震壁につい て,開口比率が0.4以下であれば,耐震壁としてみなすことができる 旨とその部分の壁の持つ耐力低下の計算式を採用しておればよい旨記載 されているところ,本件耐震壁も開口比率が0.4以下であるため,本 件構造設計も上記記載には反しない。
(イ) 1階の型式に関する耐震設計上の留意
「建築物の構造規定」(甲65)では,「共同住宅の用途に供する建 築物の張り間方向のように連層耐力壁が主たる構造において,特定階を 駐車場,店舗等の広い空間が要求される用途に併用するため,耐力壁の すべてもしくは一部が当該階でなくなり,その階の水平剛性,水平耐力 が急減する可能性が高い階を有する建築物」をピロティ型建築物,「当 該階において,耐力壁,そで壁,腰壁,たれ壁,方立て壁等の量が上階 と比較して急激に少なくなっている階」をピロティ階と呼んで,「ピロ ティ形式の建築物に対する耐震設計上の留意点」(付録1−11)を記 載している。
すなわち,「ピロティ階を有する建築物は層崩壊を防止す る条件でその設計を許容する。」とし,層崩壊防止の具体的方法として, 「建築物の特定部分に過度の変形が生じないよう耐力壁等を適切に配置 すること。
また,変形が集中しやすい階を有する場合には,荷重増分解 析等の方法により,建築物の塑性化後の挙動を確認するとともに,当該 階の構造部材に十分な強度及び靱性を確保すること」とされ,また「ピ ロティ階を有する建築物の場合は,原則としてピロティ階の層崩壊に結 びつく・・・架構形式を避ける」として,避けるべき架構形式が図示さ れ,「ピロティ階を有する建築物の場合は,原則として・・・ピロティ 階で層崩壊しないような架構形式を用いるとして」として,推奨する架 構形式が図示されている。
本件運用開始文書(甲64)には,「ピロティ型式の建築物に対する 耐震設計上の留意点の取扱い(RC,SRC)」として,「層崩壊型式 に結びつく架構型式は原則として認められないことになります。」と記 載されている。
借入限度額(申込極度額)
本件取引は,借入限度額(申込極度額)の範囲内で借入と返済とを繰り返すことを予定し,その返済の方式は,追加貸付けがあっても,当該貸付けについての分割払の約束がされるわけではなく,当該貸付けを含めたその時点での基本契約に基づく全貸付けの残元利金について,35日以内の返済期日に最低返済金額(元利金合計)を支払えば足りるとするものであり,いわゆるリボルビング方式の一つであるから,個々の貸付けについての「返済期間及び返済回数」や各回の「返済金額」(返済期間,返済金額等)は定めることができないし,残元利金についての返済期間,返済金額等は,控訴人が,今後,追加借入れをするかどうか,35日以内の返済期日に幾ら返済をするかによって変動することになり,被控訴人が,個々の貸付けの際に,当該貸付けやその時点での残元利金について,確定的な返済期間,返済金額等を17条書面に記載して控訴人に交付することは不可能であったといわざるを得ない。
しかし,本件取引において,確定的な返済期間,返済金額等を17条書面に記載することが不可能であるからといって,被控訴人は,返済期間,返済金額等を17条書面に記載すべき義務を免れるものではなく,個々の貸付けの時点での残元利金について,最低返済額及び経過利息を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金
額等を17条書面に記載することは可能であるから,被控訴人は,これを確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずるものとして,17条書面として交付する書面に記載すべき義務があったというべきである(最高裁判所平成17年12月15日第一小法廷判決・裁判所時報1402号3頁参照)。
しかしながら,本件取引においては,そのような確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載のある書面が交付されたことを認めるに足りる証拠はなく,本件取引における貸付けについては,適式な17条書面の交付があったとはいえないから,控訴人による超過利息の支払について,法43条1項の規定を適用して,有効な利息の債務の弁済とみなすことはできないというべきである。
「設計指針」においても,「ピロティなど壁の全くない階は鉄筋コン クリート造とすることはできない」とされている(甲17の1,124 頁)。
本件建築物は,上記のピロティ型建築物に該当し,1階がピロティ階 となっている(甲1の5の1,7頁)。
(ウ) 一次設計での層せん断力係数の割増し 「設計指針」は,「次の1から3に掲げるいずれかの条件に適合する 建築物は,全層にわたり鉄筋コンクリート造とすることができる」とし, 「2 高さが25mを超え31m以下の建築物(?)」の満たすべき一 条件として,「一次設計で層せん断力係数(Ci)を1.25倍以上と すること。
ただし,引抜き耐力の検討の場合はこの限りでない。」等の 要件を満たすべきものと定めている(甲17の1,120頁)。
本件構造計算においては,上記条件以外に,全層を鉄筋コンクリート 造とするために「設計指針」が定めた条件を満たしたものはないところ, 構造計算概要書によれば,水平力の構造諸元欄のうち,地震力の標準せ ん断力係数について,「Co=0.2×1.25倍」と,1.25倍に 割増しする旨表示されているが,地震層せん断力係数(一次設計用) (Cil)については,1階の数値が「0.200」のままとなってお り(上記標準せん断力係数に従えば,0.200×1.25倍=0.2 50となる。),上記割増し方法によっては,上記「設計指針」で定め られた一次設計での層せん断力についての割増しがなされていないこと となる(甲1の5の1,5頁)。
すなわち,地震層せん断力係数は,Z(地震地域係数)×Rt(振動 特性係数)×Ai(i階の地震層せん断力係数の分布係数)×Co(標 準せん断力係数)によって求められる数値であり(施行令88条),本 件構造計算における1階の層せん断力係数(Ci)は「0.200」で あるところ,その算定の基礎となる数値である地震地域係数,振動特性 係数及び1階の地震層せん断力係数の分布係数は「1.00」であるか ら,本件構造計算においては,標準層せん断力係数を「0.200」と して計算されていることとなる(甲1の5の1,5頁)。
そうすると, 本件構造計算書で標準層せん断力係数を「0.2×1.25倍」と表示 しているものの,かかる標準層せん断力係数の割増しは,具体的に層せ ん断力係数を算定する過程において反映されていない。
また,本件構造計算においては,設計用応力の割増しとして,地震荷 重による応力をX方向及びY方向のいずれも1.25倍としており(甲 1の5の6の1,15頁),また,1階の柱と梁については,本件プロ グラムによる一貫計算の中で部材断面計算がなされているため,別紙7 (緑色マーカー部分)のとおり一次設計の層せん断力の1.25倍の割 増しがなされている(甲1の5の6の2,61頁)ものの,設計用応力 の割増し前の応力計算により求められた数値を基として,手計算でされ た1階の柱と梁以外の部材の断面計算,とりわけ,耐震壁の設計(甲1 の5の3,20頁)及び杭基礎の設計(甲1の5の5,31頁)におい ては,地震荷重による割増しという方法によっては一次設計の層せん断 力係数を1.25倍以上とするという割増し処理がなされていないこと となる(甲74,6頁,7頁,K29頁)。
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